小さなお店が“ふつうに”売上をつくる——LINE公式アカウント実践
※本記事の冒頭ストーリーは架空の商店をもとにしたフィクションです(実在の店舗ではありません)。使い方の流れをイメージしやすくするための例としてお読みください。
①川崎市麻生区 〇駅近辺のベーカリー「ひだまり」のカウンターで
朝一番、店主の斎藤さんはスマホを取り出し、今日の「雨の日クーポン」をLINE公式アカウントから配信しました。友だち登録してくれた常連さんにだけ届く、食パン50円引きのメッセージ。10時の開店を待たずに既読が伸び、11時にはリッチメニューの「予約取り置き」ボタンからバタールが完売。
「紙チラシの頃みたいに“届いたかどうか”を悩まなくていい。常連さんの反応が見えるのがうれしい」
——こんな風に、特別なIT投資なしで“普段づかいの販促”ができるのが、LINE公式アカウントの強さです。例えば川崎市自身もLINEで市政情報やごみ分別・窓口混雑などを案内していて(出典:川崎市公式サイトhttps://www.city.kawasaki.jp/170/page/0000112312.html)、地域の生活導線にLINEが溶け込んでいるのは実感のとおりです。
②町田駅前の小さなカフェ「カフェみどり通り」の挑戦
町田駅の賑やかな北口から少し歩いた裏通りに、小さなカフェ「カフェみどり通り」があります。
店主の美咲さんは、夫婦二人三脚で営むカフェをもっと多くの人に知ってもらいたいと考えていました。
以前はXでおしゃれな写真をコメント付きで投稿していたけれど、フォロワーの多くは全国各地のカフェ好き。
「近所の人に届かないんだよね…」と悩んでいた美咲さんは、思い切ってLINE公式アカウントを開設しました。
「毎朝1分」のLINE配信が常連客を呼び戻した
ある日の朝、美咲さんはスマホでこう打ち込みました:
「おはようございます☀️本日限定、手作りレモンパイあります🍋10個だけ!」
送信して1時間もしないうちに、「取り置きお願い!」というLINEメッセージが3件。
昼過ぎにはパイは完売、午後には「明日は何があるの?」と聞くお客さんも。
他のSNSでは広く拡散されても「見て終わり」になりがちでしたが、LINEでは会話が生まれる。
「顔が見えるお客さんに届いてる!」と感じた瞬間でした。
ポイントカードも紙からLINEへ
以前は紙のスタンプカードを作っていたけど、紛失や忘れが多く管理も大変。
そこでLINE公式アカウントのショップカード機能を導入。
10回来店でドリンク1杯無料の仕組みをアプリ内で自動化したところ、
「カード忘れがなくて便利!」とお客さんの満足度がアップしました。
町田の地域イベントとも連動
町田駅前の商店会のイベント情報もLINEでシェアするようにしたら、
「このお店、地元のイベントも教えてくれるんだね」と新規客との会話のきっかけに。
イベント当日にはカフェの前に立ち寄ってくれる人が増え、地域の回遊性にも貢献できるようになりました。
美咲さんのひと言
「LINEは“いつものお客さん”とつながる場所。
お店の空気をそのまま届けられるのがいいですね。朝の1分のLINE配信が、午後の売上につながるなんて思いもしなかった!」
いますぐ始める:開設〜初期設定の3ステップ(15〜30分)
こんな風にLINE公式アカウントを活用すると、顔なじみのお客さんやご近所さんと自然につながりやすくなります。
「SNSの投稿は見られているのか分からない」「チラシを配っても反応が薄い」——そんな悩みを抱えるお店ほど、LINEは“日常の会話の延長線上”でお客さんとやり取りできる頼もしいツールです。
ここからは、誰でも15分程度でできる開設・初期設定の方法と、業種別の活用事例をご紹介します。まずはお店やサービスの「LINEの入り口」を整えるところから始めましょう。
① アカウント作成
公式の「はじめよう」ページから、ビジネスIDを作成 → 店舗情報を入力すればOK。(出典:https://entry.line.biz/start/jp/ LINE Biz
② 管理画面に入る
WebのLINE Official Account Managerにログイン。ここに「メッセージ配信」「チャット」「あいさつメッセージ」「リッチメニュー」など主要機能がまとまっています(出典:https://www.lycbiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/ LINEヤフー for Business
③ 基本情報を整える
プロフィール(紹介文・営業時間・地図・予約ボタン等)を設定。ボタンは最大3つまで常設でき、予約やクーポンなど“最短で押してほしい”導線を置くのがコツ(出典:https://www.lycbiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/profile/)。 LINEヤフー for Business
※あいさつメッセージ=友だち追加時に自動で届くメッセージ。初回特典クーポンをここで渡すと登録の納得感が出ます(出典:https://www.lycbiz.com/jp/manual)。 LINEヤフー for Business
まずは無料200通から、超えたら段階的に
料金は無料(コミュニケーション)/ライト/スタンダードの3プラン。目安は以下です(出典:https://www.lycbiz.com/jp/service/line-official-account/plan)。 LINEヤフー for Business
- 無料:200通/月
- ライト:5,000通/月(税込はサイト参照)
- スタンダード:30,000通/月+追加従量あり
カウントは「配信回数×配信人数=通数」。たとえば友だち50人に1回送ると50通です(出典:https://www.lycbiz.com/jp/service/line-official-account/plan#count)。 LINEヤフー for Business
※無料200通は超過不可なので、伸びてきたら有料への切替を(解説例:https://lme.jp/media/line/number-of-free-messages/)。 LINE公式アカウントの自動化ツールなら「L Message(エルメ)」
「友だち」を増やす:現場×QRが最短ルート
店頭POP+口頭案内が最も確実。管理画面の「友だち追加ガイド」でQRコードやポスターを発行できます(出典:https://www.lycbiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/gain-friends/)。 LINEヤフー for Business
Webやブログには友だち追加ボタンのコードを埋め込み(手順解説:https://developers.line.biz/ja/docs/messaging-api/sharing-bot/)。 LINE Developers
※「どれくらい増えるか」は導線・特典の強さ・声かけで差が大きく、一般化した数値の断定は困難(あいまい)。
業種別の使い方と実在の事例
1) 飲食店:今日の空席・雨の日・予約導線で“今日の売上”をつくる
- 時限クーポン:「本日17時までドリンク100円引き」
- 固定ボタン:リッチメニューに予約・地図・メニューを常設
- 実在事例:株式会社あっぷるアイビー。友だち数・「LINEで予約」をKPIに、売上130%貢献等の成果を公表(出典:https://www.lycbiz.com/jp/case-study/line-official-account/appleivy/)。 LINEヤフー for Business
さらにリッチメニューの設計を工夫し、クーポンクリック率1.3倍と紹介する解説記事も(出典:https://www.shopowner-support.net/customer_attraction_information/online/tool/line-rich-menu-example/)。 集客・広告戦略メディア「キャククル」 - 中小企業のマーケティング力を高める
2) 美容室・サロン:来店前の事前カウンセリングでミスマッチ防止
- 写真で要望確認→当日の施術がスムーズ
- 直前キャンセル枠は一斉配信で埋める
- 実在事例:Number76 Tokyo(表参道)
「毎日の業務に欠かせない」ほどLINEチャットを活用(出典:https://www.lycbiz.com/jp/case-study/line-official-account/number76-tokyo/)。 LINEヤフー for Business
※最新トレンドまとめも参考(出典:LINE for Businessコラム https://www.lycbiz.com/jp/column/line-official-account/marketing/line-business/)。 LINEヤフー for Business
3) 小売(食品・物販):入荷速報×1:1チャットで“いま買いたい”に間に合う
- 新入荷や限定を画像で即時配信
- 在庫・サイズ問合せはチャットで迅速対応
- 実在事例:長沼精肉店
公式の「使い方カタログ」で、LINE内の情報設計・活用イメージを公開(出典:https://www.lycbiz.com/jp/service/line-official-account/catalog/naganuma/)。 LINEヤフー for Business
4) 教室・レッスン:体験申込までLINE内で最短導線
- リッチメニューに体験申込ボタンを常設
- カード型メッセージでレッスンの魅力を視覚訴求
- 実在事例:K Village Tokyo(韓国語教室)
公式の使い方カタログで、友だち追加→体験申込の導線を解説(出典:https://www.lycbiz.com/jp/service/line-official-account/catalog/kvillagetokyo)。 LINEヤフー for Business
1週間運用プラン(雛形つき)
Day1:初期設定
プロフィール/営業時間/地図を設定。あいさつメッセージ+初回特典を用意(出典:https://www.lycbiz.com/jp/manual)。 LINEヤフー for Business
Day2:リッチメニュー(最小構成)
飲食=「予約」「メニュー」「地図」/美容=「予約」「料金」「スタイル」/小売=「通販」「在庫問合せ」「地図」/教室=「体験申込」「料金」「LINEチャット」。
Day3:テスト配信
自分のスマホでも友だち登録して見え方を確認。3吹き出しまでが1通としてカウントされる点に注意(出典:https://www.lycbiz.com/jp/service/line-official-account/plan#count)。 LINEヤフー for Business
Day4〜5:友だち集め(現場)
レジ・受付で口頭案内+QR。公式の「友だち追加ガイド」でポスターと追加ボタンを作る(出典:https://www.lycbiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/gain-friends/)。 LINEヤフー for Business
Day6:本配信①(価値ある1通)
飲食=「明日のランチ写真+予約ボタン」/美容=「空き枠」/小売=「入荷速報」/教室=「体験の空き枠」/整体=「予約リマインド・事前問診フォーム」。
Day7:分析→次の1通
友だちの獲得経路・ブロック率をチェック。店頭ポスター・Webボタンごとの経路管理が可能(出典:https://www.lycbiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/insight_friends/)。 LINEヤフー for Business
多摩エリアの事例
お店ではありませんが、多摩地域のLINE活用で面白いものを見つけたのでご参考に記載します。
- 地域ぐるみのLINE活用
多摩信用金庫は、LINEで多摩30市町村の魅力を発信する参加型企画を実施(2025/6/13ニュースリリース、PDF)(出典:https://ask-tamashin.dga.jp/news/pdf/931.pdf)。*地域でのLINE活用は生活者にもなじみがある*、という前提で設計できるのが強みです。 よくあるご質問 | 多摩信用金庫
よくある失敗と回避法(ブロックされない運用)
- 配信しすぎ:無料200通はすぐ尽きます。月2〜4通に絞り、価値ある情報だけを(出典:料金・通数の仕組み https://www.lycbiz.com/jp/service/line-official-account/plan)。 LINEヤフー for Business
- 導線がない:メッセージで興味喚起→リッチメニューのボタンで“行動”に繋げる。
- 友だちが増えない:店頭QR+口頭案内が最短。Web・SNSの友だち追加ボタンも忘れずに(出典:https://www.lycbiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/gain-friends/ / https://developers.line.biz/ja/docs/messaging-api/sharing-bot/)。 LINEヤフー for BusinessLINE Developers
- 数値が読めない:獲得経路を設定して、どのQR/ボタンが効いているかを見える化(出典:https://www.lycbiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/insight_friends/)。 LINEヤフー for Business
まとめ:まずは“常連に刺さる1通”から
- 公式手順で無料開設→基本設定(出典:https://entry.line.biz/start/jp/ / https://www.lycbiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/)。 LINE BizLINEヤフー for Business
- 店頭QR+口頭案内で既存客から友だちを増やす(出典:https://www.lycbiz.com/jp/manual/OfficialAccountManager/gain-friends/)。 LINEヤフー for Business
- 月2〜4通の価値配信(予約・クーポン・入荷速報など)。
- 効果が出たらリッチメニュー最適化→有料プラン検討→(必要に応じて)広告や外部ツール。
地域の商売は顔が見える関係が命。LINEは「いま、目の前のお客さん」と細く長くつながるための“生活インフラ的”なツールです。多摩の事業者こそ、身の丈の範囲で今日から始めましょう。


